2025.04.01
【WRH】木内久美子准教授がドイツのルートヴィッヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン、イギリスのケンブリッジ大学に滞在しました。
木内久美子准教授がWRHプログラムの支援によるドイツ、イギリス滞在を終えて帰国しました。
今回の派遣による成果と期間中の様子を報告いただきました。

ルートヴィッヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンでの発表
派遣者 | 木内久美子准教授 |
派遣先機関の名称 | ①ルートヴィッヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン レイチェル・カーソン・センター ②ケンブリッジ大学 地理学科 |
派遣先機関の国・都市 | ①ドイツ・ミュンヘン ②イギリス・ケンブリッジ |
派遣先機関の受入研究者名・職名 | ①Professor Christof Mauch ②Professor Matthew Gandy |
派遣期間 | 2024年10月14日 ~ 2025年 3月8日 |
共同研究の題目 | (日本語)オギュスタン・ベルクの風土学に依拠した存在論的風景分析のフレームワークの構築 |
(英 語)Study of Ontological Landscape Analysis Based on Augustin Berque’s “mesology” |

一番左が木内准教授(リール大学にて)
この研究滞在では、ドイツ・ルートヴィッヒ・マクシミリアン大学ミュンヘンのレイチェル・カーソン・センターと、イギリス・ケンブリッジ大学の地理学科の二か所に滞在し、研究を行いました。
滞在中の研究プロジェクトでは、フランスの地理学者で東洋学者でもあるオギュスタン・ベルクの風土論に着目し、特に都市分析の観点から、英語圏で彼の著作の受容史を比較文化論の観点から解明しようとしました。ヨーロッパを拠点とした文献調査のおかげで、ベルク関係の資料を収集することができ、研究が大きく進展しました。
ベルクへの関心の背景には、私が研究テーマとしてきている東京の湾岸地域、特に埋立地の都市計画史や環境史を踏まえた水辺の風景分析の研究があります。ミュンヘンのレイチェル・カーソン・センターでは、センター長のChristof Mauch教授のご紹介で、センター所属の河川研究者や島嶼研究者と知り合うことができました。また同センターの研究ネットワークをとおして、アウグスクブルク大学のSimone Müller教授や、同大の研究教育プロジェクト「UM(WELT)DENKEN」のメンバー、またヴェニスのカフォスカリ大学の研究グループとも面会することができました。センターには世界各地から短期・長期で複数の研究者が月替わりで滞在しており、テーマ別の研究グループの活動も盛んで、研究の場づくりという点でも学びの多い滞在になりました。
ケンブリッジ大学の地理学科では、Matthew Gandy教授の広い研究ネットワークのおかげで、ケンブリッジ大学だけでなく、ロンドン大学・バートレット校のアーバン・ラボでも研究発表の機会をいただき、今後、国際的な共同で研究プロジェクトを立ち上げられそうな領域横断的な研究に取り組む中堅・若手の研究者と知り合うことができました。ガンディ教授との共同作業をとおして、英語圏での論文出版の目途が立ちつつあり、現在、論文投稿のために執筆を進めています。
またギリシア・アテネ大学では英語学科のスタマティナ・ディマコプル准教授の招へいで利他について講演し、リール大学で日本学科のCyrian Pitteloud氏からお声がけをいただき、研究発表と日本学科の学生向けの映画上映会と解説講義を行いました。
この研究滞在を通して、対面で知り合い、時間をかけて一人一人と話すことがとても大切だと感じました。滞在中に対面で話した研究者は30人を超え、その一人一人が親身に私の研究に耳を傾け、アドバイスをしてくれました。今後は、この機に得られた貴重な研究ネットワークを、国際的な研究のコラボレーションへと展開していきたいと思っています。この研究滞在は、私の研究にとって非常に大きな転機を与えてくれました。ご助力をくださった皆さまに、心から感謝申し上げます。
関連リンク
– World Research Hub(WRH) プログラム
– 木内久美子(東京科学大学STARサーチ)