IRFI 東京工業大学国際先駆研究機構

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2024.04.19

【WRH】Gilbert Alexis准教授がフランスのナント大学に滞在しました。

Gilbert Alexis准教授がWRHプログラムの支援を受けて約2か月、フランスのナント大学滞在を終えて帰国しました。
今回の派遣による成果と期間中の様子を報告いただきました。

中央:Gilbert Alexis准教授

 

Destination Institution CEISAM Laboratory, University of Nantes
City and Country Nantes, France
Host Researcher Illa TEA, Associate Professor
Travel Period 2024/01/15 – 2024/03/15 (60 Days)
Project Title (Japanese) 安定同位体分析による医療診断
(English) Position-specific isotope analysis as a medical diagnosis tool

 

安定同位体比(2H/1H、13C/12C、15N/14N)の変化は、分子の起源や歴史に関する貴重な情報源である。そのため、安定同位体は、(i)癌と健常細胞の代謝活動の変化を理解し、(ii)現在の診断では不十分な癌を診断するための興味深いツールとなりうる。
がんと健常細胞における同位体比の違いは報告されているが(Tea et al. このプロジェクトは、がんの増殖による代謝の変化を診断し理解する能力を向上させるために、位置特異的同位体分析という新しい手法を採用することによって、これらの両面を前進させることを目的としている。
このプロジェクトでは、同位体組成が代謝の変化を記録し、したがって我々の理解と診断能力を向上させる可能性を持つ分子、特にアミノ酸と有機酸に対して、15Nと13CのPSIAを正確に測定する方法を開発することを提案する。
イラ・ティー博士とアレクシス・ジルベルト博士の共同研究は2024年1月に開始された。目標は、東京で13C-PSAAに使用されている装置をナント大学に導入し、15N-PSAAでいくつかの代謝物を測定することである。13Cの位置特異的同位体分析法を導入することができ、エタノールやペンタンといった単純な分子の測定に成功した。15N分析用のデバイスの実装は、以下の制約により若干遅れている:
(i) ナントでのシステム導入に必要な部品の納品に時間がかかった。
(ii) 徹底的な文献調査の結果、我々がターゲットとした分析対象物(アルギニン、オルニチン、シトルリン)の全てではないにせよ、一部は完全な15N-PSA測定に十分なフラグメントを生成しない可能性があるようだ。
上記の制約のため、我々は当初の計画を少し修正することにした。(i) これらの標的分子の 15N-PSIA を測定する代替方法を検討する (ii) 天然存在量での同位体効果を含む代謝モデルを構築する。後者は、がん細胞における13Cと15Nシグネチャーの関連を理解する上で重要である。このモデルを用いて、我々は特に、炭素中心代謝に直接関連するアミノ酸(アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸)の13C-PSAAが、がん診断のための重要な新しい標的分子になりうることを示すことができた(Gilbert & Tea, in prep.) したがって、我々は、がん細胞と健常細胞からの代謝産物の13C-PSAA測定で共同研究を継続したいと考えている。

関連リンク
– World Research Hub(WRH) プログラム
Gilbert, Alexis

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