金属錯体が生まれ変わる分子のカゴ金属錯体がタンパク質カゴに取り込まれ不斉反応を触媒

金属錯体が生まれ変わる分子のカゴ
金属錯体がタンパク質カゴに取り込まれ不斉反応を触媒

おすすめ プレスリリース

生命理工学院の上野隆史教授Shyamalava Mazumdar特任教授らは、金属錯体がナノサイズのタンパク質カゴへ自発的に集積して触媒として機能することを利用し、水中で不斉合成を実現するクリーンな人工金属酵素を開発した。

タンパク質集合体はナノマテリアルや生体内ではたらく分子材料の素材として注目されている。本研究では内部に直径8 nmの空間を有するタンパク質カゴ「フェリチン」に着目し、その内部へ自発的に金属錯体が集積することを利用し、水中では低活性な金属錯体をカゴ内で高活性な触媒として駆動させることに成功した。したがって、これまで有機溶媒中でのみ行われていた化学反応を、水中でも進行させられる可能性が広がった。さらに、タンパク質からなる分子カゴは光学活性な環境を作り出すことから、カゴ内の反応は高いエナンチオ選択性を示す。

今回用いたタンパク質カゴはpHや温度に対する安定性も高いことから、生体親和性触媒として体内の分子変換への利用や、環境調和型触媒としてさらなる応用が期待される。

今回の成果は、総合化学分野において最も権威のある学術誌のひとつである「アンゲヴァンテ・ケミー国際版(Angewandte Chemie International Edition、ドイツ化学会誌)」のオンライン版で1月10日に公開された。

詳しくはこちら

WRHIに関するお問い合わせ
お問い合わせは、メールにて受け付けております。お気軽にお問い合わせください。