IRFI 東京工業大学国際先駆研究機構

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2024.01.26

【WRH】本田雄士助教がアーヘン工科大学(ドイツ)に滞在しました。

本田雄士助教がWRHプログラムの支援を受けて3か月に及ぶドイツ滞在を終えて帰国しました。
今回の派遣による成果と期間中の様子を報告いただきました。
 

図1.研究棟 (Institute for Experimental Molecular Imaging) の様子

 

派遣者 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所 助教 本田雄士
派遣先機関の名称 アーヘン工科大学
派遣先機関の国・都市 ドイツ・アーヘン
派遣先機関の受入研究者名・職名 Yang Shi・Professor
派遣期間 2023年11月1日 ~2024年1月12日 (73日間)
共同研究の題目 免疫細胞への取り込みを促進させる機能性高分子を修飾したTLR7/8 アゴニストプロドラッグの構築

 
【はじめに】
がん治療方法の一つとして、腫瘍内の免疫を活性化させ、治療を行うがん免疫療法が挙げられる。効率的にがん免疫療法によって治療を行うためには、腫瘍内にがん抗原およびがん免疫を活性化させるアゴニストを集積させる必要があり、そのためには機能性分子を修飾させる必要がある。そこで、2023年11月1日から2024年1月12日にかけてがん免疫療法およびバイオマテリアルの分野で精力的に研究を実施しているドイツ・アーヘン工科大学Institute for Experimental Molecular ImagingのYang Shi教授と共同研究のアイデアの創出および関連する実験を実施した。その活動内容は以下に記した。

(1) 新規バイオマテリアル合成技術および機能性高分子を修飾方法に関する検討
がん免疫療法などに用いることが可能な高機能化生体高分子を創出するためには、タンパク質を含む生体分子への分子修飾が必要不可欠である。しかしながら、分子修飾するための反応条件が過激な条件であると、生体分子の構造が壊れてしまい、十分な機能を示すことができない。そのため、特異的な構造を維持するためには、反応条件を温和な条件で行う必要があり、適応可能な反応方法が限られている。そこで、今回派遣先であるアーヘン工科大学において、新規タンパク質修飾手法の検討を実施した。受け入れ手続き・健康診断などがあったことから、本格的な実験開始は11月下旬からであったが、従来の分子導入方法と比較して、高効率かつ高収率の分子導入条件および精製方法の確立に成功した。現在、合成した分子の活性に関して、評価中である。この合成技術は以下に記載する共同研究計画を進めるための重要技術になるだけでなく、様々な高分子材料の開発を進めるための必要技術にもなりえると考えられる。

(2) 来年度研究費申請予定である共同研究の予備実験の実施
2023年初めからYang Shi教授と定期的にオンラインミーティングを実施し、共同研究の可能性について議論を重ねてきた。共同での研究費申請だけでなく、お互いの技術(本田:マテリアルデザイン、Yang:がん免疫療法)が活きる未開拓な分野の研究に焦点を当て、議論を重ね、そのアイデアの骨格がまとまったことから、今回現地にて詳部に関するディスカッションおよび予備検討を実施した。実際に現地においては新規機能性高分子の候補物質の合成を実施した。当初反応効率が十分でなかったが、ディスカッションを行いつつ、新輝合成方法を試すことで、候補物質の合成に成功した。今後は合成した物質の機能評価および当該テーマに関する研究費申請を実施する予定である。

(3) 訪問先のポスドク・博士課程の学生とのディスカッションおよびセミナー聴講
今回訪問したInstitute for Experimental Molecular Imagingの特徴として、複数の研究室が合同でミーティング実施している上、実験設備を共有している (図1)。また、2週間に1回程度外部から研究者が訪れ、講演を行っている。これらのミーティングにおいて、様々な研究分野に関する知見を得た。特に、複合領域である特徴を活かして、バイオマテリアルに機械学習やシミュレーションを組み合わせた研究など、多様な取り組みを知ることができた。また、様々な研究室のメンバーとも意見交換を行うことができた (図2)。
 

図2.研究所メンバーとの交流(本田:左から3番目)

関連リンク
– World Research Hub(WRH) プログラム
西山・三浦研究室

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