社会実装研究

鉄筋コンクリート造耐震壁の地震時性能評価国際研究プロジェクト

研究概要

鉄筋コンクリート造耐震壁(RC耐震壁)は,建物の主要な構造要素として多用される.地震国においてはその高い構造性能から,鉛直力と水平力に同時に抵抗できる耐震要素として用いられることが多い.チリ地震(2010年),NZ地震(2011年)では,10階を超えるような建物でこうしたRC耐震壁が大きな被害を受けた(図1).被害は,建物全層に渡って連層で配された細長いRC耐震壁が曲げを受け,基部でコンクリートが圧壊したり,鉄筋が座屈したりする圧縮曲げ破壊型であった.このころから,各国の研究者が協力してこの問題を解決したいとの機運が高まり,特にRC耐震壁の重要性が高い米国・NZ・チリの研究者と協力しての国際研究プロジェクトとなった.日本でも,東北大震災(2011年)や熊本地震(2016年)でRC耐震壁が同じような損傷を受け,国際研究プロジェクトの重要性がより認識されている.
この国際プロジェクトでは,載荷実験,実験データベースの収集,各国の規基準比較,解析モデルの提案,解析ソフトの比較など多岐に渡って,世界的協力無しでは進まない研究を推進している.WRHIでは,ワイオミング大・Mukai教授を招聘し,日米の耐震規基準比較,日米の耐震壁実験データベース作成,終局時変形時の抵抗機構解明(図2)とそのモデル化に焦点を当て研究を進めている.また,フロンティア研全国共同利用も活用し,関連する研究者との共同研究を加速化している.

Figure 1 : Damages of structural walls by the 2010 Chile earthquake (Bonelli et al.) Figure 1 : Damages of structural walls by the 2010 Chile earthquake (Bonelli et al.)
Figure 2 : Loading test on RC shear wall at the TIT structural lab.<br /> Figure 2 : Loading test on RC shear wall at the TIT structural lab.