平成29年8月海外派遣支援報告

平成29年8月海外派遣支援報告

活動報告

≪平成29年度WRHI事業による海外研究機関への派遣報告≫

フロンティア材料研究所 助教 博士(工学) 安井伸太郎

現在、①非鉛強誘電体薄膜材料の構造解析、②リチウムイオン薄膜電池の正極/電解質における界面構造の解明、③巨大圧電性を示す非鉛圧電体材料の開発、これら3つの国際共同研究プロジェクトを行っており、この度WRHI事業の支援により、それぞれの拠点へ実験及び研究プロジェクトの報告会のために訪問した。

 まずはじめに①非鉛強誘電体薄膜材料の構造解析のプロジェクトはState University of New York, Binghamton UniveristyのDr. In-Tae Baeと行っており、透過型電子顕微鏡の実験および打ち合わせを行った。Dr. Baeは構造解析のスペシャリストであり、今回の実験および打ち合わせにて今まで発見されていなかった新規な構造を見いだすことに成功した。

 次に②リチウムイオン薄膜電池の正極/電解質における界面構造の解明のプロジェクトはNational Institute of Standards and TechnologyのDr. Leonid Benderskyと行っており、新しいサンプルの提供および現状の報告と今後の指針について討論した。In-situ TEMにおけるLi挿入脱離における界面の構造を直接観察することを近日のゴールとして設定した。この研究でリチウムイオン電池の正極/電解質の劣化や破壊について議論が進むと確信した。

 最後に、巨大圧電性を示す非鉛圧電体材料の開発のプロジェクトはUniversity of MarylandのProf. Ichiro Takeuchiをはじめとし、Oakridge National Laboratory, Pennsylvania State Universityとの共同研究であり、実験、計算におけるほぼすべてのデータを取得し、論文を書き終える段階である。今回の訪問では、ミーティング、カンファレンスコールを含めて、アメリカ国内でのコンセンサスを取って論文投稿最終段階であり、今後投稿予定である。

 テクノロジーの発展によって、世界各国24時間TV電話などで会議が可能であるが、対面での議論はTV電話会議とは異なり、非常に綿密な打ち合わせが可能となることを再認識した。今後の研究展開において非常に有意義なものであると確信している。

本出張のご支援をいただきましたWRHIの関係者の皆様に感謝いたします。

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