2019年度12月度海外派遣報告 

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ダルムシュタット工科大学 ダルムシュタット工科大学

WRHI海外研究機関派遣支援プログラムにより、『強誘電体酸化物CaMn(Ti1-x V x )2O6の誘電性評価』のために、ドイツ・ヘッセン州にあるダルムシュタット工科大学を訪問し、本学WRHI特任教授であるJürgen Rödel教授の下で共同研究を進めた。Jürgen Rödel教授は強誘電体材料研究の第一人者であり、印加応力に依存して材料の分極方向が変化する性質である強弾性など、材料の機械的特性にも注目することで数多くの研究成果を報告している。

 

今回の共同研究では、我々のグループで合成した新規材料CaMn(Ti1-x V x )2O6の誘電性評価ならびに、強弾性評価を目的とした。この材料は新規の強誘電性発現メカニズムが提案されているCaMnTi2O6に対して、PbVO3など一部の鉛系材料において巨大自発分極を生み出すことで知られるV4+を固溶させたものである。これまでの結晶構造解析の結果により、このCaMn(Ti1-x V x )2O6x ≤ 0.4においてx増加に伴う自発分極の増大が確認されているが、リーク電流の存在からこの自発分極の増大を実験から示すことが出来ていなかった。Jürgen Rödel教授が取り組む強弾性評価は電気的にではなく、機械的に材料の持つ自発分極を評価できることから、リーク電流を示すCaMn(Ti1-xV x )2O6についても評価が出来ると考えた。また、誘電率温度依存性測定を通じて、この材料の強誘電相転移温度を評価した。

 

滞在中は、Jürgen Rödel教授、Jurij Koruza博士、Maohua Zhang氏の協力のもと実験を進めた。残念ながら試料強度の問題のために、強弾性評価をうまく行うことが出来なかったが、誘電率温度依存性測定には成功し、xに対する強誘電相転移温度依存性を明らかにすることが出来た。本研究の内容については、さらなる追加測定を行い早急に共著論文を投稿する予定である。

 

物質理工学院材料系材料コース

博士後期課程1年 福田真幸

滞在先: Technischen Universität Darmstadt

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