臨床検体中のコロナウイルスタンパク質を蛍光抗体で迅速定量することに成功蛍光検出の速度向上法としても期待

臨床検体中のコロナウイルスタンパク質を蛍光抗体で迅速定量することに成功
蛍光検出の速度向上法としても期待

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東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の上田宏教授Jinhua Dong特任教授(中国康復大学教授)と朱博助教、東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 生体集中管理学分野の野坂宜之講師と若林健二教授、同医療イノベーション推進センター長の小池竜司教授らは、抗原に結合すると光る抗体断片Q-body(Quenchbody、クエンチ抗体)を、短時間でコロナウイルス量を検出できるバイオセンサーとして用いることに成功した。本研究は、東京工業大学のWRHI脱コロナ禍プロジェクトの支援を受けて行われた。

 これまで研究グループでは、抗体断片に蛍光色素を化学修飾したクエンチ抗体(Q-body)を構築してきた。Q-bodyは、励起光を照射したときの蛍光強度の変化を見ることで、ウイルスを構成する物質の有無や量を検出できる。
 今回研究グループでは、まず新型コロナウイルスの構成成分のうちスパイク(S1)タンパク質を検出するQ-bodyを開発し、疑似ウイルス粒子の高感度検出に成功した。さらに、ヌクレオカプシド(N)タンパク質の検出においては、反応条件を最適化することで、東京医科歯科大学病院で採取した臨床サンプル中にある新型コロナウイルス検出ならびに感染有無を判定することに成功した。
 また、反応液にポリエチレングリコールなどの高分子を適量添加することで、反応を加速し高感度化できることを明らかにした。
 この方法を発展させれば、唾液や鼻咽喉ぬぐい液などから目的病原体を簡便迅速に定量検出でき、将来効果的な診断法につながると期待される。

 これらの成果は、英国時間9月15日に科学誌「Scientific Reports(サイエンティフィックレポーツ)」、9月30日に英国化学誌「Analyst(アナリスト)」にオンライン掲載され、特に後者はHot Article(注目論文)と掲載号のBack Cover(裏表紙)に選ばれた。

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